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2026.2.16 人的資本経営・採用・定着

管理職が「EQマネジメント」を理解すべき理由|成果と信頼を生むマネジメントの実践方法

管理職が「EQマネジメント」を理解すべき理由|成果と信頼を生むマネジメントの実践方法

働き方や人材の多様化、先行き不透明な環境により、ビジネスの正解を見いだしにくい時代になっています。職場においても、「正論や自分の経験を言っても響かない部下がいる」「価値観が異なる若い世代にどう指導すればよいかわからない」と感じたことはないでしょうか。

管理職としてこのような壁に直面している場合、部下の行動や意欲を引き出す“EQマネジメント”が、課題解決のヒントになるかもしれません。本記事ではEQマネジメントとは何か、現代のビジネスにおいて管理職がどのように実践すべきかを解説します。部下との関係性やチーム運営に不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

EQマネジメントとは

EQマネジメントとは、EQ(Emotional Intelligence:心の知能指数)を土台にしたマネジメントの考え方や実践を指します。わかりやすく言えば、人の感情を理解・活用することで、個人と組織の成果を最大化するマネジメント手法です。

ここでは、なぜ管理職にEQが求められているのか、その背景やマネジメントの対象について解説します。

リーダーにEQが求められる理由

EQマネジメントをビジネス界に広めたのは心理学者のダニエル・コールマンです。彼は著書
EQが高業績リーダーをつくる」の中で、優れたリーダーはEQが非常に高く、自分自身と他者の感情を的確にマネジメントしていると述べています。

企業が高い業績を生み出すためにはIQ(Intelligence Quotient:知能指数)や技術的な熟練度が不可欠です。しかし、これらはあくまで前提条件にすぎません。卓越した成果の差を生む要因は、自己理解や対人関係を扱う高度なEQにある、というのがコールマンの見解です。

働き方や人材、価値観が多様化する現代の組織では、一般論や正論だけで多くの人を動かすことができません。相手の前提を理解し、すり合わせたうえで組織として機能させるためにも、1人ひとりの感情を適切に扱えるリーダーが求められているのです。

EQマネジメントの対象

ビジネスにおいてEQマネジメントの対象になるのは主に次の3つです。

  • 自分の感情:感情に振り回されないリーダーシップを発揮する
  • 他者の感情:部下の感情を理解し、状況に応じて対応する
  • チームの感情(心理的な温度感):職場の空気や温度感を整え、心理的安全性を保つ

もっとも重要な対象は管理職自身の感情です。コールマンは「リーダーの感情は必ずチームに伝染する」と指摘しています。リーダー自身が自分の怒りや不安、焦りや慢心といった感情を自覚せずにいると、無意識のうちのチーム全体の空気に悪影響を及ぼしかねません。
自分の感情を適切にコントロールすることができてこそ、部下やチームのパフォーマンスを最大化するマネジメントが可能になります。

EQマネジメントは優しさや甘さではない

EQマネジメントでは、管理職が自身の感情を抑える一方で、部下の感情には理解と配慮を示すことが求められます。

そのため、「部下に優しくする」「機嫌を取る」ことがマネジメントだと誤解されることもあります。しかし、マネジメントの目的は一貫してチームの成果です。コールマンによれば、EQが高いリーダーとは単に優しい人ではなく、自分と他人の感情を的確に理解し、それを集団のパフォーマンス向上のためにコントロールできる人を差します。

EQが高いリーダーは必要に応じて厳しいフィードバックも行い、部下への期待値を明確に伝えます。ただし、その際に感情的に叱責したり、部下の不安や焦りを否定したりすることはありません。リーダー自身が感情をうまく扱えば、部下は安心して失敗を共有し、率直な意見を述べられるようになります。

EQとは、感情という目に見えない要素を戦略的にマネジメントし、チームの生産性を最大化させる、極めて合理的なビジネススキルなのです。

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EQマネジメント実践の第一歩は自己認識

ビジネスの現場でEQマネジメントを実践する際、最初の一歩となるのは「自己認識」です。他人の感情を動かすためには、まず自分自身の感情に気付き、コントロールできなければなりません。

具体的には、次のようなステップが有効です。

  • 自分の感情のクセを観察する:どんな状況で感情(怒り、焦り、不安)を抱きやすいか自覚する
  • 感情にラベリングする:心の中で「今は焦っている」などと言語化する
  • 6秒の壁を意識する:怒りのピークは長くて6秒。感情が昂ぶったら6秒数える、深呼吸するなどして、感情的な言動を防ぐ

リーダーの機嫌や態度は、想像以上にチームに伝染します。まずは自分自身が冷静に感情をコントロールし、安心感のある職場を作ることが、EQマネジメントの土台になります。

チームのパフォーマンスを引き出す3つのEQマネジメント

EQマネジメントは、特別な才能やカリスマ性がなければ実践できないものではありません。

日々のコミュニケーションの中で、少し意識を変えるだけでもチームの雰囲気や成果は大きく変わります。日々のコミュニケーションに取り入れやすいポイントを3つ紹介します。

1.相手の感情を情報として受けとめる

EQマネジメントでは、部下の感情を問題や厄介なものとして扱いません。感情は、その人の置かれている状況や心理状態を示す重要な情報だと捉えます。

たとえば、部下が不安そうにしている場合、それを安易に能力不足と判断してはいけません。その不安には、「業務の難易度が高すぎる」「役割や期待値が不明確」といったサインが潜んでいる可能性があります。

感情に対して一概に良い・悪いと判断を下しても成果は上がりません。部下になぜこの感情が生まれているのかを読み取る姿勢が、適切な支援や指示、ひいては業務の成果につながります。

2.ダメ出しは「アイメッセージ」に変換する

指導やフィードバックは管理職にとって避けて通れない役割です。しかし、伝え方を誤ると、部下の防衛的な反応を招いてしまいます。

コールマンはEQマネジメントにおいて、「You message(ユーメッセージ)」ではなく「I message(アイメッセージ)」を意識することが重要としています。アイメッセージのポイントは主語を「あなた」ではなく「私」にして、事実と感情と分けて話すこと、相手の人格を評価しないことです。

  • あなたはなぜいつも報告が遅いのか」→ユーメッセージ
  • 「報告が遅いと判断が後手になるため、私は不安に感じる」→アイメッセージ

前者のように責められる言い方をすると、人は防衛反応を起こすもの。結果として学習や変化が止まり、パフォーマンスがさらに悪化する事態になりかねません。メッセージの主語を「私」に置き換えれば、相手は自分が責められていると感じにくくなります。厳しい指導やフィードバックでも前向きに受け止めやすくなるでしょう。

3.チームの空気感を軽視しない

EQマネジメントではチーム全体の「空気感」や「心理的な温度」も重要な対象です。

  • 発言しづらい雰囲気になっていないか
  • 失敗を報告しにくい空気になっていないか
  • 会議が一方通行になっていないか

こうした空気感の変化は生産性やエンゲージメントの低下につながりかねません。リーダー自身が落ち着いた態度を保ち、意見を歓迎する姿勢を示すことで、チームの心理的安全性は大きく向上します。

まとめ

現代の組織において、IQや経験だけでチームを率いることは難しくなっています。多様な前提条件を持つメンバーと成果を出すためには、1人ひとりの感情を理解し、扱うためのEQマネジメントが不可欠です。

EQマネジメントは単なる優しさや精神論ではなく、管理職が成果と信頼を同時に築くための実践的なマネジメント手法です。まずは自己認識から始め、部下の感情を適切に扱い、チームの成果を高めていきましょう。

著・監修:服部ゆい

金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。
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