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2024.4.15 ストレスチェック

ストレスチェック制度の義務化とは?意味あるチェックにするため企業ができることは

ストレスチェック制度の義務化とは?意味あるチェックにするため企業ができることは
労働者のメンタルヘルス不調を防ぐため、2015年12月にストレスチェック制度が義務化されて8年がたちました。

2024年現在、全国でおよそ8割の企業がストレスチェックを実施しています。しかし、検査を実施して高ストレス状態と診断されても、実際に医師の面接指導を行う人はごくわずかです。こうした状況から、チェックを実施する人事・労務部門においても「ストレスチェック制度をやる意味はないのでは」と感じることがあるのではないでしょうか。

今回はストレスチェック制度について改めて解説しながら、チェックを意味あるものにするため、企業ができることは何かを考えていきます。

ストレスチェック制度の義務化の概要

ストレスチェックとは、心理的な負担の程度を把握するための検査です。
労働安全衛生法では、労働者のメンタルヘルス不調防止を目的として、従業員に対するストレスチェックと面接指導の実施等を各事業場に義務化しています(第66条の10に係る制度全般)。

出所:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」

義務化の対象

義務化の対象になるのは、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場です。ここでの「常時50人以上の労働者」には、アルバイトやパートタイマー、派遣社員も含まれます。基本的には、従業員の雇用形態や契約期間、週の労働時間を元に判断するのではなく、たとえ週に一度でも継続して働くことが常態となっている従業員がいれば、すべて含めて計算します。

なお、50人未満の労働者を使用する事業場(小規模事業場)であれば、ストレスチェック制度は当面の間努力義務となります。とはいえ、小規模事業場には産業保健のサービスを無料提供する、ストレスチェックや面接指導に関する助成を行うなどの支援制度が用意されています。努力義務の事業場であっても、支援制度をうまく活用すればストレスチェックの実施は十分可能です。法的義務の有無にかかわらず、できる範囲で実施制度の導入を進めておきましょう。

ストレスチェックの罰則

義務化の対象であるにもかかわらず、ストレスチェックの実施や実施報告を行わない事業場は、労働安全衛生法によって50万円以下の罰金に処されます。

出所:労働安全衛生法 第百二十条

労働安全衛生法の違反によるダメージは罰金だけではなく、企業イメージの著しい毀損に繋がる可能性もあります。どのような事情があれ「労働安全衛生法に違反した企業」について、良いイメージを抱く人は少ないでしょう。罰則を受けることは今後の取引や求人募集など、事業活動全般におけるリスクになると認識しておきましょう。

ストレスチェック制度で事業者が行うこと

対象の事業場は、ストレスチェック制度に基づく取り組みを以下の手順で行う必要があります。

1.ストレスチェック制度の基本方針を表明する

2.ストレスチェックの実施および面接指導を行う(1年以内ごとに1回)
・企業が医師、保健師等の「実施者」にストレスチェックを行うよう依頼する
・実施者がストレスチェックの結果を本人に通知する(本人の同意がない限り、結果内容を企業に提供してはならない)
・面接指導の必要性が認められた労働者から申し出があれば、企業は当該労働者に対して医師による面接指導を実施。必要に応じて時間外労働の制限など、就業上の措置を実施する

3.集団ごとに集計と分析を行い、労働基準監督署へ報告する
・企業は実施者に依頼し、ストレスチェック結果を一定規模の集団ごとに集計・分析させる
・企業は集計・分析の結果を勘案し、必要に応じて職場環境の改善など、適切な対策を講じる
・企業はストレスチェックと面接指導の実施状況について、労働基準監督署に所定の様式で報告する

ストレスチェックはあくまで取組内容の一部に過ぎません。制度の実施においては、チェックによって従業員に心理的な負担を自覚させること、企業が当該従業員の業務を見直し、職場環境を改善していくといった過程が不可欠です。

効果はある?ストレスチェック制度の実施状況

2015年12月にストレスチェック制度の義務化が開始し、すでに8年経過しました。
厚生労働省の令和4年調査によると、ストレスチェック制度の実施割合は年々増加傾向にあり、全事業場のうち8割以上が実施している状況です。受験者のうち、「高ストレス」と診断される労働者の割合は5~20%。どのような企業にも、一定の割合で高ストレス者が存在していることがわかります。
ところが、ストレスチェックで高ストレスとわかっても、実際に医師による面接指導を希望する人の割合は5%未満という企業がほとんどです。
ストレスチェック制度を有用なものにするためには、各企業でどのような取り組みが必要でしょうか。

出所:厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」

ストレスチェックの効果を高めるには職場環境改善が不可欠

厚生労働省の委託事業「ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業報告書」には、“ストレスチェック制度は事業場・労働者ともに有用であると一定の割合で評価されている”と記載があります。
ただし、有用になるのはストレスチェック後の面接や職場環境の改善などを一連で行ったケースです。法的義務をはたすことが目的になってしまうと、制度はただ形骸化していくだけになるでしょう。そのため各企業はストレスチェックをただ実施するだけではなく、結果をふまえたうえで職場環境の改善に取り組む姿勢が求められます。

出所:厚生労働省「ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業報告書」

職場環境改善事例

ここでは厚生労働省の「ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業報告書」から、高ストレス者がいる場合の職場環境改善事例を紹介します。

●参考事例①
一定数が高ストレス者として選定されるものの、面接指導の申出が少なく、勧奨方法を工夫しても申出が増えなかった


工夫:高ストレス者として選定された人が会社に関知されずに相談できる窓口を用意した。当初は利用が少なかったが、各事業場でのポスター掲示や社内イントラネットでの周囲などによって、毎年利用率が上昇している
(出所:厚生労働省「ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業報告書」P15)

企業とは別の外部機関に相談窓口を用意した事例です。窓口を用意するだけで終わらず、継続して相談窓口の利用を呼びかけたことが利用率上昇に寄与しました。

●参考事例②
集団分析を実施したことにより、若手社員が上司や先輩社員の言葉遣いに委縮し、強いストレスを感じていたことがわかった

改善策:強めの口調や言葉遣いによる指導がハラスメントになる場合もあることを全社員に対する研修で説明したり、若手社員の配置に配慮したりした
  (出所:厚生労働省「ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業報告書」P16)

集団分析によって明らかになるストレス要因もあります。この企業では言葉遣いに関する指導を行うほか、若手社員が孤立しないよう配置を見直し、できる限り年齢の近い社員を同じ部署に配置するなどの対策を取りました。複数の対策によって試行錯誤していくことは、従業員の意識改革にもつながります。

高ストレスと診断された従業員が医師の面接指導を受けるには、企業に高ストレスの事実を知らせる必要があります。そのため、面接指導を拒否する従業員は少なくありません。また、面接をする心身の余裕がないほど従業員が追い詰められている可能性もあるでしょう。

各企業は「従業員が面接指導を拒否している」だけで終わらせず、職場に高ストレス者がいるという事実を重く受け止める必要があります。種々の事情を考慮し、面接指導以外にできる取り組みはないかを複数考え、随時実施していきましょう。

まとめ

従業員を常時50人以上雇用する企業は、ストレスチェックの実施が法的に義務づけられています。ただし、チェックや報告はあくまで手段です。ストレスチェック制度本来の目的は従業員のメンタルヘルス不調を防ぐことにあるため、チェックして終わりにならないよう気をつけてください。

ストレスチェック制度は、チェック結果をふまえた職場環境改善の取り組みまで一連で行うことで、ようやく効果が期待できるものです。また、一度や二度の取り組みですぐに効果が出るわけではありません。従業員の反応を見ながら試行錯誤して適宜職場の環境を見直していけば、企業としての取り組み姿勢が従業員にも伝わるはずです。

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服部椿
著・監修

服部ゆい
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。


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