近年、メンタルに不調を抱えて仕事や私生活に影響が出ている人が増加傾向にあるため、こころの健康を意味する「メンタルヘルス」が大きな注目を浴びています。
個々がメンタルヘルスケアを意識するだけではなく、メンタルに不調を抱えない職場づくりや、仕事に復帰しやすい環境整備も必要です。本記事では、メンタルヘルスの基礎知識から、職場での従業員への対応方法や注意点についてまで詳しく解説します。
メンタルヘルスとは?
メンタルヘルスとは、体の健康ではなく、こころの健康状態を意味する言葉です。厚生労働省によると、こころの病気は増加傾向にあり、生涯を通じて5人に1人がかかるともいわれています。こころの病気の種類や症状には個人差があり、一生治らないとは言い切れません。 しかし、放置すると悪化するケースがあるため、早期発見や予防のための取り組みを続けることも大切です。まずは、従業員のメンタルヘルスについて理解を深めましょう。企業や職場における従業員へのメンタルヘルスケアとは?
企業や職場における従業員へのメンタルヘルスケアとは、従業員が穏やかにいきいきと働ける仕組みを作り実践することです。こころに不調を抱えている人だけではなく、ストレスが大きい人・小さい人、健康な人など、それぞれに適したケアを行います。メンタルヘルスケアを実践する意義
メンタルヘルスを行わない場合、こころの病気にかかったり大きなストレスを抱えたりすることで、離職や休職などが増えて企業が損失を受ける可能性があります。また、労働契約法における安全配慮義務では、事業者は従業員の心身の安全確保を目的に、職場環境を整えたりさまざまな配慮をしたりすることが義務づけられています。これらを踏まえて、メンタルヘルスケアを実践する意義について詳しくみていきましょう。
生産性の低下の防止
精神的なストレスが過剰になると、1日でできていた仕事が3日かかったり、重要な決断において誤りを犯したりと、本来の能力を発揮できなくなります。同じ利益を得るために多くの人件費が必要になり、会社の収入と支出のバランスが崩れます。厚生労働省によると、長期休業者の3~5割はメンタルヘルスの不調が原因といわれています。また、メンタルヘルス不調によって休業者が出ることで他の従業員がカバーせざるを得なくなり、業務過多によって生産性が低下する可能性もあるでしょう。
モチベーションの維持
職場環境の改善によって労働に対する不可が軽減し、モチベーションの維持につながります。モチベーションは仕事に対するやる気や生産性に大きく関わるため、結果的に企業の利益が高まります。トラブルの抑制
メンタルヘルスの不調によって集中力や注意力が低下すると、事故やトラブルのリスクも上昇します。例えば、車の運転では交通事故のリスクが、製造業では製造機器に身体の一部をはさむなどのリスクが懸念されます。 メンタルヘルス不調が原因であり、企業のメンタルヘルスケアの取り組みが不十分だと発覚すると、社会的信用性の低下につながりかねません。メンタルヘルスケアにおける4つのケア
厚生労働省は、労働安全衛生法に基づき2018年度を初年度とした「第13次労働災害防止計画」を策定しました。その中では8つの重点施策が定められており、その1つがメンタルヘルス対策となっています。 そのメンタルヘルスケアは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」に分かれており、これらを継続的かつ計画的に行うことが重要です。それぞれのケアについて詳しくみていきましょう。
労働者(従業員)によるセルフケア
事業者は労働者に対して、次のセルフケアを行うための教育研修や情報提供を行うことが重要です。・ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
・ストレスチェックなどを活用したストレスへの気付き
・ストレスへの対処
管理監督者が行うラインによるケア
管理監督者は、部下に対して次のように対応することが求められています。・職場環境等の把握と改善
・労働者からの相談対応
・職場復帰における支援 など
産業医や衛生管理者などによるケア
産業医や衛生管理者などは、ラインによるケアとセルフケアの効果を高めることを目的に、労働者と管理監督者を支援します。また、次の内容で構成されるこころの健康づくり計画の実施において、中心的役割を担います。・具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
・個人の健康情報の取り扱いについての取り決め
・事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口としての役割
・職場復帰のための支援 など
外部機関や専門家によるケア
メンタルヘルスケアの専門知識を持つ外部機関や専門家によるケアを実施します。・情報提供や助言などのサービス活用
・外部機関や専門家とのネットワークの形成
・職場復帰の支援 など
職場における従業員へのメンタルヘルスケアの進め方
職場にいて、従業員へのメンタルヘルスケアは次の流れで進めます。1.衛生委員会を結成し「こころの健康づくり計画」を策定する
メンタルヘルスケアを推進する際は、労働社の意見を踏まえて事業場の実態に合った取り組みを行う必要があります。衛生委員会を立ち上げたうえで十分に調査し、「こころの健康づくり計画」を策定しましょう。同計画には、次の内容を盛り込みます。・事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
・事業場におけるこころの健康づくりの体制の整備に関すること
・事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
・メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
・労働者の健康情報の保護に関すること
・こころの健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
・その他労働者のこころの健康づくりに必要な措置に関すること
引用:職場における心の健康づくり|厚生労働省
2.相互に連携して取り組みを推進する
各ケアにおける関係者が連携し、次の取り組みを積極的に推進しましょう。・メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供(全従業員が協力して行う)
・職場環境の把握と改善(メンタルヘルス不調の予防)
・メンタルヘルスの不調をきたしている従業員の早期発見と対応
・職場復帰における支援
メンタルヘルスケアを進めるときのポイント・留意点
メンタルヘルスケアを進めるうえで具体的な対策を立てなかったり、情報をもとに従業員へ不利益を与えたりすると、メンタルヘルスケアの取り組みは失敗します。進め方のポイントと留意点について詳しくみていきましょう。メンタルヘルス情報を不当に利用しない
メンタルヘルスケアでは、従業員のこころに関する情報を取得します。この情報は従業員の健康維持や状況改善に利用すべきものであり、不利益な扱いを行うために利用してはいけません。不利益な扱いとは、次のような行為を指します。■不利益な扱いとは
・解雇
・契約期間の定めがある従業員の契約を更新しない
・退職をすすめる
・不当な配置転換や役職変更
・その他の労働関係法令に違反する対応
ストレスケアにつながる施策を盛り込む
メンタルヘルスケアでは、ストレスケアにつながる具体的な施策を実践する必要があります。具体的には、次のような施策が挙げられます。
■ストレスケアにつながる具体的な施策例
・相談窓口の設置
・定期的なストレスチェックと、その結果に基づいた職場環境改善対策
・心の健康づくりに関するマニュアルの作成
・個人情報の秘密保持への配慮
・労働者からの相談対応
・職場復帰における支援 など
また、法人向け長期所得補償保険の「GLTD(Group Long Term Disability)」を利用するのも1つの方法です。
GLTDは従業員が病気やけがで休職し所得が減少した際に、長期にわたり所得を補償する保険です。
厚生労働省が推進しているメンタルヘルスケアの一環てあり、安心してメンタルヘルスの回復に努めることができるうえに、職場に対する安心感を得られるため退職による優秀な人材の喪失の防止につながります。
ストレスケア等のサービスや労務の無料窓口が無料付帯されている上、安価なコストで導入できるためメンタルヘルスケアと共に福利厚生制度としても注目を集めている法人向け損害保険です。
まとめ
メンタルヘルスの不調の原因は職場環境だけではなく、家族・親族、性格、ライフスタイルなど、さまざまな要素が複雑に関係し、相互に影響し合います。メンタルヘルスは生産性やモチベーション、事故・トラブルのリスクに直結するため、事業者は積極的にメンタルヘルスケアに取り組むことが大切です。
メンタルヘルスケアの一環として、GLTD(団体長期障害所得補償保険)の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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