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2024.11.19 仕事と介護の両立

ビジネスケアラー増加で中小企業は何をするべき?具体的な対策を紹介

ビジネスケアラー増加で中小企業は何をするべき?具体的な対策を紹介

近年、仕事をしながら家族等の介護にあたる「ビジネスケアラー*」が増加しています。
仕事と介護の両立は心身に大きな負担を与えます。介護や看護を理由に離職する人も増加傾向にあるため、ビジネスケアラーの増加は企業にとっても看過できない課題です。

そこで本記事では、ビジネスケアラーの増加が企業に与える影響と支援に取り組むメリットを解説します。具体的な支援策も紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

*「ワーキングケアラー」とも呼ぶ。本記事では主に「ビジネスケアラー」の用語を使用

働きながら介護にあたる「ビジネスケアラー」が増加傾向

少子高齢化によって15歳以上65歳未満の生産年齢人口が減少する中、近年は女性や高齢者など、多様な人材が労働市場に参加するようになりました。一方で、ビジネスケアラーも増加傾向にあります。
ビジネスケアラーとは、働きながら家族などの介護にあたる人を指します。かつて専業主婦世帯が多かった時代では、こうした家族の介護は主に本人の配偶者や子どもの配偶者などがその役割を担っていました。しかし近年は女性の社会進出に伴い、働く誰もが家族の介護者となりうる時代になっています。

経済産業省の調査によると、こうしたビジネスケアラーは2030年には約318万人※に達すると予測されています。

ビジネスケアラーに関連する指標の推移 > 経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」より図表7


ビジネスケアラー増加が企業に与える影響

ビジネスケアラーの増加は、当然ながら企業活動にも大きな影響を及ぼします。
経済産業省によると、ビジネスケアラーの増加に伴い引き起こされる経済損失額は、2030年に約9兆円※1に上る見込みです。
2030年における経済損失(億円)の推計>経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」


実際、介護や看護を理由に離職した人は年間10万人(※2)を超え、5年前と比較しておよそ1万人増加しています。離職者の多くは40代~60代で、中間管理職やベテラン従業員が多い年代です。彼ら・彼女らの離職が相次げば、組織に蓄積された経験や知識を喪失するリスクがあります。
特に中小企業は人員に限りがあるため、離職の影響を受けやすくなります。中小企業においても、ビジネスケアラーの両立支援は喫緊の課題といえるでしょう。
※2 厚生労働省「令和4年就業構造基本調査」

ビジネスケアラーを支援するメリット

中小企業では、ビジネスケアラーを支援する余裕はないと感じるかもしれません。
しかし、支援策を講じなければ、いずれは人材不足による組織力低下、業務遅延や生産性の低下、ひいては経営目標の未達成という事態を招く可能性があります。
介護は初期対応次第で一定程度マネジメント可能な課題です。早めに支援策を講じたほうが、長期的に得られるリターンは大きくなるでしょう。ここでは、ビジネスケアラーへの支援で期待できるメリットを紹介します。

離職防止・人材確保

ビジネスケアラーの多くは、豊富な知識と経験を有する40代~60代の従業員です。
支援策に取り組むことで、彼ら・彼女らの離職を防ぎ、スキルやノウハウの喪失を抑制できます。介護と仕事を両立できる環境が整えば組織は安定するため、新たな人材の確保もしやすくなるでしょう。

企業イメージと社会的信頼の向上

介護や育児、病気など多様な事情を抱える従業員を支援することは、CSR活動の一環として社会的評価につながります。企業イメージの向上により、顧客や取引先、株主などさまざまな関係者からの信頼も高まるでしょう。

従業員のモチベーションやエンゲージメント向上

ビジネスケアラーは心身ともに大きな負担を抱えるため、支援を欠くと業務効率の低下につながりかねません。企業が積極的に支援環境を整えることで、従業員は安心して業務に取り組めるようになり、モチベーションやエンゲージメントが向上します。結果として、企業への帰属意識も高まるでしょう。

中小企業のビジネスケアラー支援取り組み事例

ここでは、中小企業がビジネスケアラーの支援に取り組んだ事例を紹介します。

株式会社文典堂

・業種:製造業
・従業員数:25名(個別)
・資本金:1,000万円

<取り組みの背景と効果>
株式会社文典堂は小規模な企業のため、専門性の高い従業員が離職・休職したときに組織全体に与える影響が大きいという課題があった。そこで、以下の取り組みを実施。
今では、介護と仕事を両立させながら定年まで勤め上げたり、責任あるポジションで仕事を続けたりしている従業員が複数いる。

<取り組み内容の例>
・個人面談を通じて従業員の家族構成や出産予定の有無、親の健康状態などを把握
・急な状況変化に備え、有給休暇の事後申請や勤務時間を柔軟に設定した
・仕事が俗人的にならないよう、勉強会や情報共有を日常的に行っている

株式会社はなまる

・業種:飲食サービス業
・従業員数:290名
・資本金:1,000万円

<取り組みの背景と効果>
「はなまるうどん」を展開する株式会社はなまるでは、管理職レベルでビジネスケアラー支援策の浸透が必要という問題意識があった。そこで役員から店舗のスーパーバイザーまで管理職に介護セミナーを実施。管理職レベルで支援の必要性を改めて認識したうえで複数の取り組みを実施。今では、介護について相談する従業員が着実に増えている。

<取り組み内容の例>
・介護専門の担当者配置と相談窓口の設置。困っている人が助けを求めやすい体制を強化
・正社員に限らず雇用保険に加入していれば介護休業の取得が可能であることを周知
・ビジネスケアラー当事者の場合、一時的にジョブサイズや勤務時間帯を変更するなどの調整を提案・実行

ディーエスピー株式会社

・業種:こん包業
・従業員数:正社員12名、パート社員60名
・資本金:1,000万円

<取り組みの背景と効果>
ディーエスピー株式会社はパート社員(非常勤社員)の比率が高く、勤務時間を自由にできない人材が多いという背景があった。そのうち、介護問題が浮上し、介護と仕事の両立支援策への取り組みを開始。結果として従業員のモチベーションが向上し、会社に対する理解度が向上。リファラル採用にもつながっている

<取り組み内容の例>
・ダブルキャスト制にすることで属人的な仕事をなくし、顧客へのクオリティを担保した
・社内にコミュニケーションチームを作り、正社員・パート社員問わずすべての社員が活躍できる風土を推進している

出所:経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」より

中小企業で行える主な両立支援策

ここまでご紹介した事例をもとに、中小企業で行える主な両立支援策を解説します。

フレキシブルな勤務制度の導入

リモートワークや時短勤務、フレックスタイム制度などを積極的に導入し、ビジネスケアラーが柔軟に働ける環境を提供しましょう。
フレキシブルな勤務制度があれば、「平日の午前中に行政の窓口で介護相談し、午後から出社して仕事」といった働き方が容易になります。

介護休暇・休業制度の取得促進

介護休暇や介護休業制度を積極的に周知し、利用を促進しましょう。
介護休業はまとまった休みを取得でき、介護休暇では1日や半日単位の休みを取得できます。従業員の事情にあわせた休みを気兼ねなく取得できるよう、企業から働きかける姿勢が重要です。

介護に関する相談窓口の設置

社内に介護相談窓口を設置し、従業員が気軽に相談したり、情報収集したりできる環境を整えましょう。身近に相談できる場所があるだけでも、ビジネスケアラーの負担を軽減できるはずです。

従業員の福利厚生としてGLTDを導入

GLTD(団体長期障害所得補償保険)とは、従業員の福利厚生に活用できる企業向けの団体保険です。基本的には長期において働けない場合の所得減少をカバーする保険ですが、特約を付帯すれば介護休業時の所得減少もカバーできます。
「介護で休みを取れるのはありがたいが、収入が減ってしまうのが不安」という従業員にとって心強い補償になるでしょう。


出所:経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」より

まとめ

ビジネスケアラーの増加は離職者数の増加や業務遅延・生産性の低下など、さまざまな企業活動に影響を与えます。人員に限りがある中小企業ほど、中堅従業員が多数を占めるビジネスケアラーへの支援が急務です。

中小企業ができる支援策には、短時間勤務制度やフレックスタイム制度など働きやすい勤務制度の導入、介護休暇・休業の取得利用促進、相談窓口の設置や福利厚生の充実などがあります。自社に適した方法から始めて、従業員が安心して介護と仕事を両立できる環境を整えていきましょう。

なお、GLTDとは、従業員がケガや病気で長期間休業した際の所得を補償する団体保険です。保険商品によっては、介護休業用の特約や、ストレスチェック・サポートサービスや休職者フォロー、女性の健康フォローといったサービスが無料で付帯されています。

貴社の福利厚生制度に合わせて柔軟に設計できる保険もあるため、産業保健サービスの導入や福利厚生制度の導入を検討している企業は、GLTDも検討候補に入れてみてください。

「GLTD」の導入を考えている方には、当サイトを運営しているファーストプレイスにて、下記5社のGLTD保険の見積もりが可能です。

【取り扱い保険会社】
・東京海上日動火災保険株式会社
・三井住友海上火災保険株式会社
・損害保険ジャパン株式会社
・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
・キャピタル損害保険株式会社

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服部椿
著・監修

服部ゆい
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。


■参考資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001268178.pdf
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kall.pdf
https://journal.meti.go.jp/p/33695/
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kaigo/sanko_240601.pdf
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kaigo/beginners_20240326.pdf

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