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2024.7.18 働き方改革

働き方改革関連法とは?人手不足必至の中で中小企業ができる取り組みとは

働き方改革関連法とは?人手不足必至の中で中小企業ができる取り組みとは
働き方改革関連法とは、労働者の多様な働き方を実現するため、企業に求められる取り組みを法的に義務化したものです。
企業の規模や業種によって各法律の適用時期は異なりますが、中小企業も含めてすべての企業が対象となります。
本記事では、働き方改革関連法の全体像と主な内容、人手不足の中小企業が取るべき対応策について解説します。

働き方改革関連法とは

「働き方改革関連法」とは、個々の事情に応じた多様な働き方を、労働者自らが選択できるようにするための一連の法律を指します。2019年から2024年にかけて、労働基準法や労働安全衛生法など複数の法律が順次施行されてきました。

働き方改革における中小企業の定義

働き方改革関連法の対象は、中小企業や小規模事業者も含め、従業員を雇用するすべての企業です。ただし、企業規模によって対応力が異なるため、中小企業や一部業種では適用時期に猶予期間が設定されていました。
ここでの中小企業とは、「資本金額または出資金の総額」と「常時使用する労働者数」で決まります。

<働き方改革関連法における「中小企業」の定義>
業種①資本金の額または出資金の総額または②常時使用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業100人以下
卸売業1億円以下
それ以外3億円以下300人以下
※個人事業主や医療法人など、出資金の概念がない場合は、労働者数のみで判定する

上記に当てはまれば中小企業と判定され、当てはまらなければ大企業と判定されます。

働き方改革関連法の主な内容と施行時期

働き方改革関連法の柱となるのは、「労働時間法制の見直し」と「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」です。

労働時間法制の見直し1.時間外労働(残業時間)の上限規制
2.年5日の年次有給休暇の取得義務化
3.中小企業の月60時間超の残業に帯する割間賃金率の引上げ
4.フレックスタイム制の拡充
5.高度プロフェッショナル制度の創設
6.勤務間インターバル制度の導入促進(努力義務)
7.労働時間の適正な把握の義務付け
8.産業医・産業保健機能の強化
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保9.同一労働同一賃金(不合理な待遇差をなくすための既定整備)
詳しく解説していきましょう。

1.時間外労働(残業時間)の上限規制

【施行時期】大企業:2019年4月~/中小企業:2020年4月~
※ドライバーや建設業、医師など、一部業務に就く労働者は猶予期間があり、2024年4月から適用開始された

【概要】時間外労働、いわゆる残業時間の上限を定めるものです。
すべての企業において、時間外労働は原則として月45時間、年360時間を上限とします。繁忙期など臨時的な特別の事情がある場合でも、月100時間、年720時間を超える時間外労働は認められません。長時間労働を抑制し、従業員の健康を守ることが狙いです。

2.年5日の年次有給休暇の義務化

【施行時期】2019年4月~
【概要】企業に対し、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者には「年5日の有給休暇を確実に取得させること」を義務付けるものです。正規雇用者だけではなく、パートやアルバイトなどの非正規雇用者も対象で、雇用形態を問わず休みが取りやすい職場を作ることが狙いです。

関連記事:【罰則あり】有給休暇は年5日の取得義務あり!中小企業が取るべき有給休暇の義務化対策

3.中小企業の月60時間超の残業に帯する割間賃金率の引上げ

【施行時期】中小企業:2023年4月~
【概要】中小企業における月60時間超の時間外労働(残業)に対する割増賃金率を、25%から50%に引き上げるものです。すでに割増賃金率を50%に引き上げていた大企業に続く形での引き上げとなりました。時間外労働の上限規制と同様、長時間労働を抑制することが狙いです。

4.フレックスタイム制の拡充

【施行時期】2019年4月~
【概要】フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内であれば、始業時刻や終業時刻を労働者自らが柔軟に設定できる制度です。働き方改革関連法では、フレックスタイム制において労働時間の調整が可能な精算期間を1か月から3か月に延長します。子育て中の親が子どもの長期休暇にあわせた調整をしやすくなるなどのメリットがあり、働き方をより柔軟に変更できるようになります。

5.高度プロフェッショナル制度の創設

【施行時期】2019年4月~
【概要】一定の高度専門職に就く人は、要件を満たせば労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日・深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度です。
一部規定を適用しないことと引き換えに、対象者には高額の報酬が与えられ、働く時間の選択など広範な裁量が認められます。対象になる高度専門職は金融商品の開発やアナリスト業務、コンサルタント業務に就く人で、高い収入を確保しながらメリハリのある働き方ができるようになります。

6.勤務間インターバル制度の導入促進(努力義務)

【施行時期】2019年4月~
【概要】1日の勤務終了後から翌日の勤務開始までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する制度を導入促進するものです。労働者の生活時間や睡眠時間を確保することが狙いです。2024年時点では努力義務ですが、インターバル制度を導入した企業は働き方改革推進支援助成金を受けることができます(諸条件あり)。

7.労働時間の適正な把握の義務付け

【施行時期】2019年4月~
【概要】企業に対し、従業員の労働時間の状況を客観的に把握することを義務付けるものです。元々、労働時間を把握することは通達で規定されていましたが、裁量労働制が適用される人は通達の対象外でした。 働き方改革関連法では、裁量労働制が適用される人も含めて、すべての労働者の労働時間状況を把握することが義務付けられます。長時間労働者に対する産業医等の面接指導を確実に実施することが狙いです。

8. 産業医・産業保健機能の強化

【施行時期】2019年4月~
【概要】産業医の活動環境を整備し、長時間労働や労働者の業務状態を適切に把握するものです。企業から産業医への情報提供を充実・強化させたり、産業医による労働者の健康相談を強化したりして、健康的な職場環境を作ることが狙いです。
なお、労働者50人未満の企業に産業医の選任義務はありません。その場合は、登録産業医のいる地域産業保健センターを活用して従業員の健康管理を行うことが推奨されています。

9.同一労働同一賃金

【施工時期】大企業・派遣会社:2020年4月1日施行/中小企業:2021年4月1日施行
【概要】 同一企業内における正社員・非正規雇用者間で、基本給や賞与といったあらゆる待遇について不合理な差を設けることを禁じるものです。パートやアルバイト、契約社員、派遣労働者などすべての非正規雇用者が対象となります。
ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方を選択しても、顕著な待遇差があれば「多様な働き方の選択」につながりません。同一労働同一賃金では、どのような働き方を選択しても不合理な待遇差が生まれないよう、既定を整備しています。

人手不足に対応するため、中小企業が取るべき対策とは

働き方改革関連法の実施による人手不足は、すべての業界において深刻な課題となっています。特に、人員に限りがある中小企業においては早急な対応が求められます。ここでは、中小企業が取るべき対策をご紹介します。

1.デジタル活用で業務プロセスを全面的に見直す

AIを含め、デジタルツールは目覚ましい勢いで進化しています。業務プロセスの中で活用できそうなツールがあれば積極的に導入・活用し、業務効率をゼロベースで見直しましょう。
今となっては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのセルフレジも当たり前の光景になりつつあります。導入時は社内外から不慣れによる不満の声が上がるかもしれませんが、慣れてしまえば業務効率は大幅に改善するのではないでしょうか。
「この業務は人間が行うべき」という先入観を取り払えば、デジタルで代替できる業務は意外とあるものです。本当に人の手が必要な業務なのか、この機会に業務の棚卸しをしてみてください。

2.デジタル活用事例の発信&福利厚生の充実

デジタルツールで業務プロセスを改善する一方で、効率的な人員補充策も進めなければなりません。そのためには、企業イメージの刷新が不可欠です。
特に運送・物流業界や建設業界は長時間労働が常態化していたため、働き方改革が行われても「過酷な労働環境」のイメージが根強くあります。また、中小企業は大企業に比べて「アナログで属人化した業務が多い」「体制整備が不十分で休みにくい」と思われる懸念もあります。
こうしたイメージを払拭するためにも、1で行ったデジタルツールの活用事例は積極的に発信していきましょう。デジタルに強く、業務プロセスに無駄がない企業をアピールすることは、デジタルツールの活用が得意な人材を誘致することにもつながります。

また、福利厚生の充実も重要です。働き方改革関連法により、時間外労働の少なさや有給休暇の取得はもはや特別なアピールにはなりません。企業負担による育児サービス支援や従業員向け保険の導入など、手厚いサービスと保障を用意して、労働者に優しい企業というイメージをアピールしていきましょう。

まとめ

働き方改革関連法はすべての企業が対象となる取り組みですが、一方で人手不足を深刻化させるという課題があります。
デジタルツールの積極的な活用で業務プロセスを見直し、人手不足に対応していきましょう。
また、デジタル活用事例の積極的な発信や福利厚生の充実も効果的です。


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服部椿
著・監修

服部ゆい
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。


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