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2024.12.16 職場復帰支援

メンタルヘルス疾患で休職後の職場復帰支援はどうする?/人事部向けに具体的なステップを解説

メンタルヘルス疾患で休職後の職場復帰支援はどうする?/人事部向けに具体的なステップを解説

企業におけるメンタルヘルス対策といえば、専門部署の設置や就業規則の整備、ストレスチェックの実施といった予防策が一般的です。しかし、予防策だけではメンタルヘルス対策として十分とは言えません。
そこで今回は、実際にメンタルヘルスの不調で休業した従業員の職場復帰支援について解説します。
休業から復帰までの具体的な流れと、支援時の重要ポイントを見ていきましょう。

精神疾患の労災請求件数は年々増加

厚生労働省の調査によると、近年、仕事に起因して発症した精神障害の労災請求件数が急速に増加しています。
下記図表のとおり、令和元年(2018年)に2,060件だった請求件数は、令和5年(2023年)には3,575件。5年でおよそ1.5倍に増加しています。
精神疾患の労災請求件数は年々増加 出典:厚生労働省 令和5年度「過労死等の労災補償状況」

増加の背景には精神疾患の労災認定基準が明確に策定され、社会情勢や医学的な観点を元に改正が重ねられていることもあります。
社会的にメンタルヘルスへの意識が高くなるほど、潜在的な不調を自覚する労働者は今後もますます増えていくでしょう。

ストレスチェックの義務化

2015年にストレスチェック制度が義務化され、労働者のメンタルヘルス状態を早期に把握する体制は整ってきています。
しかし、実際に労働者がメンタルヘルス疾患で休職した場合の職場復帰支援策については、体制整備が十分に浸透しているとは言えません。今後はストレスチェックなどの予防策と同様に、休職後の復職支援にも積極的に取り組む必要があるでしょう。

休職後の職場復帰支援の流れ

厚生労働省では「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を作成しており、具体的な流れを解説しています。
これをもとに、従業員の復職支援の具体的なステップを紹介します。

ステップ1:病気休業開始および休業中のケア

病気の休業は、主治医による診断書の提出によって始まります。
上司など職場の管理監督者は診断書の内容を重く受け止め、同時に従業員が安心して療養に専念できるよう、必要な手続きや職場復帰の流れを説明しましょう。

<説明する内容>
・傷病手当金などの経済的な保障
 ・社会保険料などの経済的な負担
 ・不安や悩みの相談先の紹介
 ・公的機関または民間団体・企業の職場復帰支援サービスの紹介・情報提供
 ・休業の最長保障期間    
  など

特に気を付けたいのは、休業中でも発生する健康保険料や厚生年金保険料などの負担です。
 従業員への説明はさらに負担をかける可能性もあるため、可能な場合は家族の方にも一緒に説明を聞いてもらうといいでしょう。
また、休業中の相談窓口を作り、労働者との継続的なコミュニケーションを維持できる体制を整えることも重要です。

ステップ2:主治医による職場復帰可能の判断

休業してしばらくすると、従業員が職場復帰の意思を示すタイミングがあります。しかし、本人に意思があってもすぐに復帰できるわけではありません。
復帰にあたっては、主治医が従業員の症状を確認し、復帰の可否を判断する診断書を提出する必要があります。
 ただし、主治医の判断は日常生活における病状回復程度に基づくもので、必ずしも業務遂行能力の回復を意味するわけではありません。
企業は主治医と密に連携し、業務遂行に必要な能力について意見を交わしましょう。そのうえで、従業員の回復状況を慎重に確認してください。

ステップ3:職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成

安全でスムーズな職場復帰を支援するためには、関係者間で情報収集と評価を行い、職場復帰支援プランを作成することが重要です。
プランの作成は必須ではありません。しかし、復帰後の業務や流れを可視化することで、従業員の不安を大きく軽減できます。職場復帰支援プランには、可能な限り以下の項目を含めましょう。

<職場復帰支援プランに入れる項目>
・職場復帰日:復帰の具体的な日程
・管理監督者(上司)による就業上の配慮:業務量や勤務時間の調整など
・人事労務管理上の対応:業務内容や労働条件の見直し
・産業医等による意見:医学的なアドバイス
・フォローアップ:復帰後のサポート体制

プランの作成は企業内の産業保健スタッフを中心に、上司や従業員本人、従業員の家族などの関係者で連携しながら作成を進めます。

ステップ4:最終的な職場復帰の決定

ステップ3をふまえて、企業は職場復帰の可否を判断して最終的な復帰の決定を行います。
復帰に向けては、就業上の配慮や業務負担の軽減が不可欠です。
たとえば、復帰後にすぐ休業前と同様の業務を行うと負担が大きいため、段階的な復帰を計画することが望ましいです。最終的な復帰の決定と通知を行い、従業員と企業双方が合意する形で復職を進めましょう。
産業医等が選任されている企業においては、就業上の配慮に関する意見書を作成し、段階的な復帰プランを立てる方法もあります。

【職場復帰に関する意見書の例】
出典:厚生労働省「職場復帰支援の手引き」

ステップ5:職場復帰後のフォローアップ

復帰後は上司などの管理監督者によるフォローアップが重要です。
通常勤務復帰後の6か月間は特に気を付け、復帰支援プランに沿って計画が実施されているか、疾患の再発や再燃の可能性がないかをよく確認してください。
少しでも問題があれば関係者間で連携して復帰支援プランを見直し、必要に応じて変更を加えましょう。また、復帰をサポートする同僚や上司にも過度な負担がかからないように配慮することも大切です。


職場復帰支援策の重要ポイント

職場復帰支援を進める際の重要ポイントは以下の3つです。

同僚や上司などの負担にも配慮する

休業する従業員の業務を他の同僚や上司に負担させる方法では、何の解決にもなりません。

休業後は代替要員をしっかり確保し、そのうえで業務そのものを見直しましょう。
たとえば業務の一部をIT化して業務量を軽減する、不要な業務は思い切ってやめるなどの判断も必要です。いずれにしても、他の従業員に業務のしわ寄せがいかないように配慮してください。

根本原因の特定と軽減は不可欠

復帰後にまた従業員が不調になる事態を防ぐためにも、メンタルヘルス疾患の要因特定は不可欠です。本人や産業医に確認のもと不調の原因を特定しておき、休業中に対策を講じておきましょう。
具体的には、業務内容や人員配置の見直し、メンタルヘルスケアに理解のある職場文化の醸成があります。メンタルヘルス疾患の発症は誰にでも起こりうることです。発症しても誰かを責めるのではなく、業務量や業務の体制といった根本原因を改善する職場環境を作りましょう。

多角的に判断する

医師の診断書や従業員本人の声は重要ですが、多数の意見を聞いて判断することが重要です。復帰にあたり医師や従業員が「もう大丈夫」と言っていても、心身ともに本当に回復しているのか、業務遂行能力に問題ないのかはわかりません。
同じ業務を担う同僚や間近で業務を見てきた上司など、さまざまな立場の人から見て総合的に判断するように努めてください。

職場復帰支援に活用できるGLTDとは

先述したとおり、メンタルヘルス疾患で休業中の間も社会保険料の負担は発生します。一方で、傷病手当金の支給は通常1年半で終わるため、長期におよぶ休業時の経済的な負担をカバーしきれません。
GLTD(団体長期障害所得補償保険)は、こうした長期休業時の経済的負担をカバーする団体保険です。精神障害補償特約を付帯することで、メンタルヘルス疾患による休業時の所得損失を補償できます。また、休業時の所得補償という性質上、以下のような就労支援サービスが付帯されている商品が多くなっています。

<GLTDの職場復帰支援サービス>
・相談サポート:メンタルヘルス疾患や不調に悩む従業員の相談に対応
・休業・復職支援サポート:臨床心理士など、資格を持った専門スタッフが休業と復職に関する実務的なサポートを行う
・各種手続き相談:税金や社会保険料、福祉情報などの提供、公的給付などの申請・手続き

社内に相談窓口を設置するのは費用や守秘義務の観点から難しい場合がありますが、GLTDの導入により、これらの課題を効果的に解決できます。従業員のメンタルヘルス対策と職場復帰支援を強化したい企業は、GLTDの導入も検討してみましょう。

まとめ

メンタルヘルス疾患による休業時の職場復帰支援では、従業員の状況に応じた慎重なアプローチが重要です。主治医や産業医など複数の関係者と密に連携し、段階的な復帰プランを作成したうえで継続的なフォローアップを行いましょう。
また、同僚や上司など他従業員への配慮や、根本原因の特定と軽減も重要です。従業員本人だけではなく多数の人の意見を考慮しながら、多角的な視点で復帰を判断しましょう。

メンタルヘルス疾患の対策には、団体保険のGLTDも有用です。GLTDは割安な保険料で休業時の所得補償を備えることができ、特約を付帯すればメンタルヘルス疾患の休業も補償できます。商品によっては休業時の職場復帰支援サービスが付帯されているため、相談や復職支援の実務的なサポートも導入できます。
福利厚生制度の導入を検討している企業は、GLTDも検討候補に入れてみてください。

なお、GLTDは、貴社の福利厚生制度に合わせて柔軟に設計できる保険もあるため、産業保健サービスの導入や福利厚生制度の導入を検討している企業は、GLTDも検討候補に入れてみてください。

「GLTD」の導入を考えている方には、当サイトを運営しているファーストプレイスにて、下記5社のGLTD保険の見積もりが可能です。

【取り扱い保険会社】
・東京海上日動火災保険株式会社
・三井住友海上火災保険株式会社
・損害保険ジャパン株式会社
・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
・キャピタル損害保険株式会社

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服部椿
著・監修

服部ゆい
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。


■参考資料
https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/case/case_34.html

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